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体温。
2009-10-30 Fri 15:31
「あの日」、以来。
アタシの記憶には、「時系列」がほぼ存在しない。


その状態を、アタシはよく「ジグソーパズル」に例える。
買ってきたばかりの、パズルの箱の中身。

完成すれば、きっと箱の表面にある絵ができる。
だけど、箱の中身を見てもすぐにはピンとこない。
数は揃っているのか、すべて正しいピースなのか。
パッと見ただけでは、確証なんて持てない。

それでも。

1つずつ、ピースを手に取り。
此処かな、これはどうかな。
なんて、思考錯誤しながら完成形へと進む。


誰かに、こんな風にして「過去」を語る時。
アタシは、いつでもそんな風にして言葉を綴る。


そして、今もそうしている。



Hが、このブログを見たなら。
きっと、これは違うだろと笑うだろう。
そして、これも違うだろと眉をひそめるだろう。

そんなもんだ。
記憶って、そんなもんだ。

刻みつけていく、その過程で。
勝手に、「願望」や「思い込み」という色が付けられていく。
事実ではない記憶も、事実であるかのような外見を装うから。

「他人の記憶」と、「自分の記憶」は基本的に別モノ。





Hは、とにかく「細い」オトコだ。
筋肉質なのは間違いないが、一切「ムダ」がない。

だからアタシは、勝手に思い込んでいた。
その胸に抱きしめられたら、強く抱き締められたなら。
骨があたって、ちょっと痛いかもしれないなと。

その予想は、まったく的外れもイイトコで。

優しくて、力強くて。
あたたかくて、安心できて。
何処か懐かしい匂いがして、無条件で甘えられた。


泣きたいだけ泣けばいいよ、と。
なんか、そんなことを言われた記憶があるが。

一番覚えているのは、首筋の感触で。
Hの唇が、確かに其処にあると感じた瞬間。

また、泣きたくなった。


きっと、今夜だけ。
きっと、この先アリエナイ。
だから、今夜だけ。
この「特権」を、独占したいと思った。



誰かに見られることを、一瞬だけ躊躇したが。
それでも、抗えなかった。

このひとに、抱きしめられていたい。
そのキモチは、すべての理性を抑え込んだ。

そして、アタシは。
Hの背中に腕をまわし、思い切り抱きついて。
声をあげて、泣いた。

親友に慰められ、肩を借りて泣いたことは何度かある。
だけど。
愛しいひとの胸で泣く、なんて経験は記憶にない。

そもそも、好きなオトコの前で。
感情をさらけ出す、ということは。
アタシにとっては、「禁忌」に等しいほどアリエナイことだった。



Hの体温は、とにかくキケンだった。



このまま、抱きしめられ続けてしまうと。
言ってはならないことを、口にしてしまう気がした。

イヤだ、と思いながら。
アタシは、ゆっくりと身体を離した。


顔を上げると、Hと視線が合った。

ニヤッと笑う、その表情は。
「いつも」のような、冷めた何かを含んだそれではなく。
子供をあやす、「親の愛」にも似た。
懐かしくて切なくなる、そんな暖かい何かを含んでいた。



アタシは、照れ笑いで誤魔化そうとした。



骨ばった細い指が、アタシの目と頬をぬぐう。
涙を拭く、その感触が。
アタシの感情を、ひどく動揺させた。




ずっと、好きだった。
初めて逢った瞬間から、きっと。




そう、言ってしまいそうだった。
でも、言わずに済んだ。







『・・・・・・で、これからどうしたい??』







帰る、と言うべきだった。
でも、言いたくなかった。

もっと一緒にいたい、もう少しだけでいいから。
その願いが、アタシを何処までもワガママにさせていた。




どうするか、考える表情を作りながら。
Tの言葉を、思い出していた。


『あのクルマは、基本的に「ひとり乗り」仕様だから。
 だから多分、オンナが乗ることってないんじゃないかな。

 まぁ、Hさんモテるからなぁ・・・・
 一夜限りのオンナは、乗ってるかもしれないな。』



一夜限りで、いい。
むしろ、そうしたい。
一度でいいから、オンナとして抱かれて。
それで、全部この感情を過去にしてしまいたい。

アタシは、答えた。
飲みに行きたい、と。

そして。

だから、家の前までついてきて。
そして、アタシを飲みに連れて行ってと。




断る、と思った。
何を甘えてるんだと、嘲笑されるか怒られると思った。
むしろそうしてくれ、と願いながら言葉を待ったが。

またしてもそれは、予想外の結果だった。





『わかった。』






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